保証金(敷金)で与信診断
居抜物件を紹介すると、よく保証金や敷金をかなり値切ってくるテナントがあります。
家賃を値切るのは少しでもランニングコストを削減するためだと理解できますが、保証金を大幅に値切ってくるのは、こちらもいささか心配になります。
保証金を値切る理由は主に、
1.資金がなくてイニシャルコストをできるだけ減らしたい場合。
2.営業に自信が持てなくて、いつ撤退するか判らないので保証金没収
を軽減するため保証金を減らしたい場合。
3.保証金に資金を使うなら、仕入れや内装に使いたい場合。
など、ケースバイケースでさまざまな事情があるでしょう。
保証金の相場は関西では安くて家賃の3ケ月分、高くて12ヶ月分というのが相場です。(SCや専門店ビルなどでは20ヶ月以上の保証金を要求する物件もあります。)
保証金は元々借主が貸主に負う債務を担保するための預け入れ金であり、本来は6ヶ月~12ヶ月分までも必要ないはずですが、借主の債務不履行や善管注意義務違反によって被る損害は単純に家賃の不履行だけとは限りません。そういう意味では6ヶ月分とか12ヶ月分とかを預かっていてもそんなに不当に高額な預かり金ではないと思います。(但し、敷引で短期解約の場合全額没収の規定は本来の保証金の意味をすり替えていると思うので賛成しにくいです。)
ですから、私が取引するテナントの資金繰りや営業の自信度を判断する材料として、保証金に対しどんな希望を出してくるかをみることにしています。実際、資金が足りないからと言う理由で、保証金を1ヶ月にして契約した案件を知っていますが、やはり3ヶ月ほどで閉店に追い込まれ、家主さんが損害を被った事例を見たことがあります。
小さな個人会社でも、きちっと保証金を出せるテナントは長く営業を続けています。
保証金はそんな意味でテナントの与信を見る1つの材料になります。
(なお、資金繰りは問題なくても会社の体質的に保証金を極端に下げてくるテナントもいますが、それは単に良い言い方をすれば「節約企業」であり、悪い言い方をすれば「cheeper企業」なだけです。)